ご面倒ですが、本記事をお読みいただくにあたりましては、予め親記事をご一読くださいませ(でないと何の話かわからないはず)。
今更ですが、プリメインアンプは、セパレートのプリアンプまたはパワーアンプと比べて、単体でのカバー範囲が広いです。ので、程度の差はあれ、たとえばパワーアンプを単体で導入したりするのと比べるとメーカーの世界観が出音に反映されると感じます。少なくとも、これまで当方が所有した範囲内では、メーカーの世界観を全く無視したプリメインはなかったです。
たとえばですが、GOLDMUNDの世界観というのはあると思っています。セパレートは知りつつ、旗艦級を所有した経験はないので、言語化するのは躊躇われつつも言及するなら、それを下支えする要素に、たとえば広大な空間、引き締まってタイトな音像、独特の艶感と色彩感を湛え、クールながら無味乾燥ではない出音等があると思っています。で、当方が所有するTELOS 390.2の出音は、そういった要素を伴います。HEGELのH360やKrellのVanguardも同様です。
プリメインにおいては、上述したような世界観が(主に)19インチラック1枠に収納できるアンプに凝縮されています。こと最近のプリメイン(トランジスタ)の多くは、高能率の大型スピーカーも低能率の小型スピーカーもそつなく駆動する(※)ように感じられます。小音量での再生にも強く、粗も小さくて、工業製品としてしっかりしています。細かくはメーカーに依りますがその辺りもあいまって、良くも悪くもメーカーの個性が凝縮されています。
※地味ですが、技術の進歩を感じるところです。プリメインにおいては、セパレートと比べて、ひとつひとつの技術の小型化コモディティ化の恩恵が大きいように感じます。
例えば当方の宅にある PASS INT-25 は First Watt 寄りのPASSですが、それでもPASSらしい弾力性豊かな低音や聴感S/Nの良さは、巨大PASSアンプのそれを彷彿させるものがあります
PASSの場合、特にセパレートシステムが大型化しがちなので、1筐体でPASSのエッセンスを楽しめるINT-25やINT-60は貴重な存在と言えるでしょう。
ここでいう緊張感は、ユーザーとメーカーとの間のものです。プリメイン(とりわけエントリーモデル)には、上級機にはないシビアさが付きまといます。それは、プリメインを購入する方の多くが、そのメーカーの製品をはじめて購入される方で、良くも悪くもオタクのように優しくない、というお話です。ここでいうオタクとは(偏見も含め)自分なりにメーカーのイメージを固めていて、そのイメージと個々の機種の出来不出来を切り分けて考えるヘビーユーザーを指します。
国内の話になりますが、今回フォーカスしているプリメインは 定価が100万円前後のものが主で、たとえば定価~40万円くらいの国産機から乗り換えるケースは想定できる気がします。が、国産機の品質やメーカーのサービスレベルの高さからして、期待外れにならないだけでも大変でしょう。他にも、ヘッドホン/イヤホンを追い込んて耳が肥えているとか、音楽関連の仕事をしているとか、さまざまな方がメーカーを判断する材料として、エントリーモデルのプリメインアンプが果たす役割は無視できないと思われます。
な音作りをしている印象です。比較の上ではスモールスケールな優等生とも言えるでしょう。単なる偶然か、そういう機種が国内に入りやすいのか、あるいは元々あったメーカーの願望が技術の進歩によって実現されたのか、判断はできかねます。が、批判者の声がよく通るネットの時代において、プリメインの音作りが、メーカーの世界観を反映しつつ付け入る隙を与えにくいものになることに違和感はないし、感覚的にもそういうパターンを認めます。
もちろん、海外のメーカーがそんな事情を考慮してプリメインをデザインしているとは思いません。が、当方が所有してきたプリメインとりわけ最近のトランジスタアンプは総じて、大きな欠点がなく、高バランスで堅実な音作りをしている印象です。比較の上ではスモールスケールな優等生とも言えるでしょう。単なる偶然か、そういう機種が国内に入りやすいのか、あるいは元々あったメーカーの願望が技術の進歩によって実現されたのか、判断はできかねます。が、批判者の声がよく通るネットの時代において、プリメインの音作りが、メーカーの世界観を反映しつつ付け入る隙を与えにくいものになることに違和感はないし、感覚的にもそういうパターンを認めます。
個人的には、この傾向は、大抵の方にとっては良い話だと思っています。一部の方からすると退屈だとは思いますが。たとえば、KRELLのA級モノラルパワーの熱々な出音を知る方からするとVanguardの音は綺麗にまとまり過ぎている、とか。ただ、中途半端さに対する不満は、セパレートや往年の名機を探せば大抵は解決できるので、棲み分けはできると思います。
アンプ(ハード)の質感はケースバイケースです。が、リモコンを眺めたり手に取ったりすることで、アンプ(ハード)の質感が多少は想像できる気がしています。もっとも、リモコンを単体で眺めることなど滅多にないと思いますが、一応これはこれで気付きではあるので、書き留めておきます。
面白いのは、アンプの場合、ハードの質感を想像できても、音の質感を想像するのが難しいということと、対してケーブルの場合、外見から音がなんとなく想像できることです。まぁ当方の主観なのと、アンプとケーブルではこなした数が違うため、アンプももっと見比べ&聴き比べれば、また感想は違ってくるかもしれません。