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音の品格や美麗さが特徴的なATOLLのプリメインアンプ。偏見かもしれませんが、フランスのお国柄を反映した出音だと感じます。
音には温かみがあり、女性ヴォーカルや管楽器のスウィートな表現が魅力的です。
同価格帯のアンプとしては空間表現に長け、特にクラシックへの適性が高いと感じる音です。
レビューにあたり、同価格帯のプリメインアンプ幾つかと聴き比べました(詳細は後述)。なお「何が欠けているのか」をチェックするにあたっては、上のクラスかつオールラウンダーであるAUDIA FLS9を用いています。
身も蓋もないですが、FLS9とIN200では性能の差がだいぶあります。価格が桁ひとつ違うので、グダグダと言うのは野暮でしょう。ここで強調したいのは、両者の表現の方向性が似通っているということです。もろに力の差が浮き彫りになった背景の1つと感じています。
H80Sは寒色系の出音で、ATOLL IN200は暖色系の出音です。
音場表現と音像表現が高バランスである点は共通しています。
I22は寒色系の出音で、不要な贅肉は極力排する音作りです。オーディオ用語でいうなら「音楽性」については担保する気がないように思えます。
IN200は、暖色系の出音で、I22との比較の上では、音にゆとりや余裕みたいなものを感じます。これを無駄と解釈するかは人によるでしょう。
両者の共通点は、空間表現が秀逸であることです。今回のラインナップの中でも広い音場に、十分な分離を担保して音像を散りばめるため、見晴らしが良いです。
M6iもIN200も暖色系の出音のアンプです。色気はIN200の方がややあります。
M6iが音像表現を重視し、迫力を高めた出音なのに対し、IN200は音場表現を重視し、聴き手は音を俯瞰できます。
SpiritもIN200も暖色寄りの出音が魅力です。比較の上では、Spiritの方が濃厚かつ芳醇な出音で、IN200の方が爽やかです。
Spiritは眼前に色気の溢れる音像を屹立させます。対するIN200は、音場型ともいうべきで、音像に関しては聴き手が俯瞰できるよう展開します。
IN200もK3も暖色系の出音で、生命感に満ちた表現をしますが、IN200の方がより飾り気がないと感じます。
どちらを選ぶかは、K3の華やかでゆとりを感じさせる表現がハマるか否かによると思います。
比較の上では、8300Aがかっちりした出音なのに対し、IN200の出音は伸びやかです。ただ、必ずしもまったりしているわけではなく、俊敏さを感じることもあります。YBAもですが、おフランスなアンプは要領が良いように思います。
出音の寒暖について述べると、8300Aがニュートラルなのに対し、IN200は暖色寄りの出音です。ただ、Musical Fidelity M6iやAura Spiritのような熱々な感じではなく、ともすれば風通しが良いとも感じます。
どちらも暖色系の出音です。A-2は鮮烈な音で、IN200はナチュラル(落ち着いているとまでは言わない、の意)。
比較の上では、A-2の方がさっぱりした印象です。冒険的ですが、当方としてはA-2とIN200を和梨とラフランスに喩えたいです。