プリメインアンプ以外の機器類の情報はこちら。
サウンドステージの広さ、聴感上のS/N比、スピード&リズム(音の立ち上がりと立ち下がりがどれくらい速いか)、などなどについて、2025年現在、同価格帯でも優れたプリメインアンプだと感じます。
音色は、ほんのりとした暖色系です。素朴ながらしっかりとした音作りで、ゆえに、決して冷たくはなく、音楽がつまらなくならないです。実のところ、今回のラインナップでもとりわけSpectralのセパレートに似た方向性の音を出しているアンプが2つあり、その1つがこのAUDIA FLS9です。スケールこそ異なるが、暖色系の音色かつ音場が広大でドライブ力に富んだトランジスタアンプという点がSpectralを想起させます。ちなみに、もう1つはYBA Passion IA350で、あちらは暖色系の音色かつ瞬発力があってスピード&リズムに優れます。
レビューにあたり、同価格帯のプリメインアンプ幾つかと聴き比べました。
しかし、当方がとりわけ重視しているのは marantz MODEL M1 および Spectralのセパレート(with MIT cables) との聴き比べです。
当方の中では:
・MODEL M1は、定価ベースで桁2つ違うスピーカーすら駆動し得るが、その他のこと、たとえば空間に広がりをもたせたり、音像に生気をもたせたりすることはとことんサボるアンプ。アンプ選びにおけるエントリーモデル。
・Spectralのセパレート(with MIT cables)は、駆動力はもちろん、音像の生気/熱気、音のスピード/リズム、そこに空間の広さと密度スケールが加わることによる出音のスケール感などなど、当方が重視する要素を全て満たし(現環境でMagico Q5を駆動する限りは)アンプ選びのひとつの終着点。
です。したがって両者との聴き比べは AUDIA FLS9 の強み/弱みを浮き彫りにすると認識しています。
以前に書いた両者の比較記事へのリンクはこちら。
何時間でも聴いていたくなる音源の幅がSpectralの方が圧倒的に広いです。激しい曲、繊細な曲、熱っぽい曲、クールな曲、それぞれに、です。例えば、告白(by 竹内まりや)、Dance of the Tumblers(by ミネソタ管)、Corner Pocket(by Count Basie, Live)、Fantacy on Ice、秋桜(by サラ・オレイン)、etc
理由を考えましたが、
音の生気/熱気についてSpectralが(大いに)勝る。
音の速さ(スピード/リズム)でSpectralが勝る。
サウンドステージの広さでSpectralが(若干)勝る。
空間の密度についてSpectralが(大いに)勝る。
総じて、同じ音源を聴いた際の満足度においてSpectralが勝る、と結論付けています。FLS9の低音は遅くはないですが、線が細いです。淡々と刻むように、とまでは言わないですが、Spectralにあるような、音圧で吹っ飛ばされたかと思いきや次の瞬間には引き戻されるような感覚はないです。加えると、重低音の深淵まで見通せる感覚について、Spectralは別格です。
当方がAUDIAに対して抱いていたブランドイメージや、その根拠となっていたStrumento各機と比べると、FLS9の出音はコンパクトかつ汎用的です。とりわけ、低音がタイトでハイスピードゆえ、クラシックやジャズに限らず、ポップスやアニソンも器用に鳴らす点が特徴的です。「これからスピーカーオーディオに本腰を入れたい」という方は、理想のアンプに巡り合うまでの旅路のどこかで、試聴する価値のあるアンプだと思います。他方、主にクラシックで壮大・荘厳な感じを出したい方にはStrumentoをお勧めします。
はじめてAUDIAのアンプを買う人。
ご自身とAUDIAサウンドとの相性を見極めたい方。
奇をてらわない、きちんとした音がお好きな方。
音場表現にこだわってオーディオをされている方。
お値段をx軸とした片対数グラフを描きたかっただけです。ジョークグッズの類なので、不確かですがご容赦を。