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今回ラインナップしたプリメインアンプの中で最もバランスの良いアンプです。第一印象が強烈というわけではないが、使い続けるといつの間にか外せなくなっているタイプだと思います。
音色は、今回のラインナップの中で随一の「中庸」と感じます。強いて言えば、ほんの少しだけ暖寄りかもしれません。
聴感上のS/Nがかなり良く、全帯域にわたり、音の堀りが深いです。
低域は質的にも量的にも、アンプのサイズに比して豊かです。地味ながら、出音を下支えする要素です。
レビューにあたり、同価格帯のプリメインアンプ幾つかと聴き比べました(詳細は後述)。なお「何が欠けているのか」をチェックするにあたっては、上のクラスかつオールラウンダーであるAUDIA FLS9を用いています。
S/Nや駆動力など、絶対的な性能に関してFLS9があります。なまじどちらも、強烈な個性ではなく、性能とバランスでシステムを下支えするタイプなので、ランクの差がもろに音に反映された形になっていると感じます。8300Aは拡張性に富み、たとえばアンプ部を8300XPで強化するなどで、多くの要素について差を縮められそうな感じがしますが、空間表現についてはFLS9の領分ということもあり、一筋縄ではいかないでしょう。
H80Sは寒色系の出音で、8300Aはニュートラルな出音ですが、比較の上では8300Aの方が暖色寄りの出音です。
8300Aの出音はどこまでも生真面目で「逸脱」とは程遠いです。対するH80Sは、HEGELのアンプだけあり、中高音のまばゆさと低音の躍動感が個性的です。
比較の上では、8300Aがかっちりした出音なのに対し、IN200の出音は伸びやかです。ただ、必ずしもまったりしているわけではなく、俊敏さを感じることもあります。YBAもですが、おフランスなアンプは要領が良いように思います。
出音の寒暖について述べると、8300Aがニュートラルなのに対し、IN200は暖色寄りの出音です。ただ、Musical Fidelity M6iやAura Spiritのような熱々な感じではなく、ともすれば風通しが良いとも感じます。
M6iは暖色寄りで、8300Aはニュートラルな出音です。比較の上では8300Aの方が寒色寄りと言えます。
物量投入型かつ迫力と熱気にパラメーターを全振りしたM6iと、小型ながら巧みにバランスを取って出音の質を担保する8300Aの対比は興味深いです。
PRIMARE I22は寒色系の出音で、8300Aはニュートラル。
どちらも生真面目な出音が特徴的なアンプですが、I22が超ストイックで精緻な「音」を紡ぐのに対して、8300Aは「音楽」を紡ぐことを念頭においた音作りです。
8300Aの出音はニュートラルです。K3の出音が暖色寄りなので、比較の上では8300Aはやや寒色寄りとも言えます。生真面目だがストイックすぎない出音だとも感じます。
K3の出音は、とかくゆとりを感じさせます。不労所得で悠々自適な貴婦人とでも評したいです。ジャンルによって、とてつもなくリッチな鳴り方をしたり、逆にまったりし過ぎたりするので、安易に良し悪しを決めつけられないところがあります。
Spiritは暖色寄りで、8300Aはニュートラルな出音です。ので、比較の上では8300Aの方が寒色寄りの出音です。
8300Aは普通に聴けば、音ではなく音楽を、というスタンスのアンプですが、その点でSpiritは8300Aの遥か上を行っています。圧巻。
AUDIOLAB 8300Aは、ニュートラルかつしっとりして落ち着きのある音です。地味だが地力を感じさせる「頼もしい音」だと感じます。
Soulnote A-1は、明るくフレッシュな方向に振り切った「Soulnoteらしさ」が魅力的です。ともすれば転倒しそうになりながら全力疾走しているような音とも言えます。