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今回ラインナップしたプリメインアンプの中でも、Musical Fidelity M6iと並び、暖色系の筆頭だと感じます。
Spiritの出音には、濃密ないし芳醇という表現が合うと感じます。また、マッスルな感触ではなく、むしろ女性的なしなやかさがあります。オーディオをやっていると時折「真空管アンプの音色とトランジスタアンプの駆動力を両立」というようなフレーズを目にしますが、Spiritはまさにそういうアンプだと思います。
女性ヴォーカルを魅力的な音色で聴きたい方にとっては、この価格帯でも特に有望な選択肢ではないでしょうか。
レビューにあたり、同価格帯のプリメインアンプ幾つかと聴き比べました(詳細は後述)。なお「何が欠けているのか」をチェックするにあたっては、上のクラスかつオールラウンダーであるAUDIA FLS9を用いています。
両者は本質的にタイプが異なります。SpiritはFLS9のようなオーディオ的に完成の高い音を出すことはできませんが、FLS9もSpiritのような魅惑的な音を奏でることは難しいでしょう。両者の比較は、トランジスタと真空管の比較を彷彿させます。
H80Sは寒色系の出音で、量感豊かな低音をパワーで駆動するような音作りが特徴的です。
対するSpiritは、暖色系かつ濃密かつ豊穣な出音で、自然体ながらドレスアップした美人を彷彿させます。
SpiritもIN200も暖色寄りの出音が魅力です。比較の上では、Spiritの方が濃厚かつ芳醇な出音で、IN200の方が爽やかです。
Spiritは眼前に色気の溢れる音像を屹立させます。対するIN200は、音場型ともいうべきで、音像に関しては聴き手が俯瞰できるよう展開します。
M6iもSpiritも暖色系の出音です。Spiritの方が色艶に富み、女性的な出音だと感じます。
低音はM6iの方がソリッドです。スピーカーをグイグイと駆動している感が出ます。比較の上では、Spiritの方がニュートラルだとも言えます。
対照的な出音の両者。寒色系vs暖色系、精密vsおおらか、化粧っ気のなさvs色っぽさ、などなど。
いかんせん出音が全く異なるため、深く掘り下げるよりも端的に違いを強調するに留めます。
SpiritもK3も暖色系の出音で、気品に満ちた音を出します。どちらも女性的といって差し替えないでしょう。
あくまで比較上ですが、Spiritの出音の方が濃密で色気があります。逆に、K3の出音は田園を彷彿させるようなリラックスした趣きがあります。
Spiritは暖色寄りで、8300Aはニュートラルな出音です。ので、比較の上では8300Aの方が寒色寄りの出音です。
8300Aは普通に聴けば、音ではなく音楽を、というスタンスのアンプですが、その点でSpiritは8300Aの遥か上を行っています。圧巻。
SpiritもA-1も暖色系の出音のアンプですが、Spiritの出音の方が色艶に富み、落ち着きがあります。
AUDIA FLS9とA-2の出音を比較したときに「大人と子供」という表現を用いましたが、SpiritとA-1の比較についてもこの表現は当てはまると感じます。