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「音楽」を絡めて語りたくなるアンプです(後述)。
中高音は華やかです。甘美でフルーティーな音作りは、郊外の田園を散歩したり紅茶を嗜んだりする貴婦人を彷彿させます。
低音は柔らかい質感です。Hi-Fi調とは違いますが、これが合うジャンルや曲は多々あります。そういう音作りをしていると確信させる格調の高さは、さすがROKSANだと感じます。
K3について「音楽」を絡めて語ってみます。
とりあえずEDMを流しましたが、相性悪しと判断し、ジャズ、具体的にはDick Hymanの"Swing is Here"に収録された"The Most Beautiful Girl in the World"にスイッチしたところ、これがドンピシャリ!華やかな中〜高音までは想定内でしたが、低音(コントラバス)が適度に膨らみ、美味しい限りです。同アルバムの"I Hope Gabriel Likes My Music"では、ともすればヒリつきかねない笛(トランペットetc)やシンバルが、実に美しく、聴きやすく出ました。
次いでクラシック。まずは"Nojima Plays Liszt"より"Grandes Etudes de Paganini, S141/R3b: No. 3 in G-Sharp Minor, "La campanella""。やはりピアノソロは抜群です。超絶技巧も、さらりと綺麗に鳴らしてのけます。音楽性で魅せるタイプのアンプなので、噛み合うジャンルであればQ5クラスでも綺麗に鳴ります。
こうも華麗だとちょっと悔しいので、意地悪をしてみるか、ということで"Stravinsky: The Rite of Spring, etc."より"The Firebird Suite (1919 Version): V. Infernal Dance of King Kashchey"。ううむ、ズシンとくるのはいいですが、スピーカーをぶん回すアンプではないですね、ごめんなさい苦笑
なんとなくキャラクターが分かってきたところで"Bolero!"より "Ravel: Boléro"をチョイス。なぜこの曲を選んだかというと、何分何秒まで良い感じで鳴らせるか知りたいから。
1. 3分を過ぎてコントラバスが入ってくるところは合格点。
2. 6分40秒過ぎの、挑発的な表現も、持ち前の美音で乗り切る。
3. 9分手前。徐々に演奏がダイナミックになってきている。低音が少し遅れているかな?
4. 9分過ぎ。美音であるに留まらない、いわゆる音離れが要求される状況。少し厳しい。
5. 12分手前。力で音を立ち下げることを求められるパートに入り、演奏のダイナミックさに振り回されている。
6. 13:30。高音(トランペット?)が破綻。おそらく、低音が緩いことの皺寄せが高音側に行った。
7. 終盤はコントロール不能に。
思ったより頑張ってくれたという感想です(^^)
次いでEaglesの"Hell Freezes Over"より"Hotel California"。やはりというべきか、ライブの雰囲気や空気感の表現がうまいです。いや、このライブの現場にいたわけではないですけど、西海岸のホテルでダラダラする情景がなんとなく思い浮かびます。思わずリラックスしてしまいました。
その後、Queenの"Bohemian Rhapsody"(2011 Remastered)を。前半は合い、後半は合わないと予想しましたが、案の定。ただ、1:54あたりの"Too late,"の押し出しは好みでした。それと、フレディ・マーキュリーの色気を引き立てますね、K3は(^^)
レビューにあたり、同価格帯のプリメインアンプ幾つかと聴き比べました。なお「何が欠けているのか」をチェックするにあたっては、上のクラスかつオールラウンダーであるAUDIA FLS9を用いています。
AUDIA FLS9の方が高性能で、対応できる音楽のジャンルが広いです。ただ、K3の個性は強烈で、FLS9でも代わりが務まらないジャンルも結構あると思うので、あまり性能を比較しても仕方がない気もします。
H80Sは寒色系の出音で、Hi-Fi調とHEGEL特有のまばゆさが特徴的です。また、スピード&リズムに長けますが、低音は硬質ではなく躍動感に富みます。
K3は暖色系の出音で、Hi-Fiとは趣が異なり、ゆったりとした出音が魅力的です。低域がピシャリとしない点はH80Sと通じるものがありますが、K3の方が低音の収束は遅いです。
IN200もK3も暖色系の出音で、生命感に満ちた表現をしますが、IN200の方がより飾り気がないと感じます。
どちらを選ぶかは、K3の華やかでゆとりを感じさせる表現がハマるか否かによると思います。
M6iもK3も暖色系の出音ですが、M6iは男性的で、K3は女性的な出音だと感じます。
M6iの、中音域の色艶を抑えた感じのほか、低音域がタイトで筋肉質なことも無関係ではないと思われます。
I22は寒色系の出音で、Hi-Fi調を地で行きます。精密機械を連想させるような、細部まで精緻な描写が印象的です。
K3は暖色系の出音で、包容力があります。I22とは対照的な出音で、また、優劣は音源のジャンルに依るでしょう。
SpiritもK3も暖色系の出音で、気品に満ちた音を出します。どちらも女性的といって差し替えないでしょう。
あくまで比較上ですが、Spiritの出音の方が濃密で色気があります。逆に、K3の出音は田園を彷彿させるようなリラックスした趣きがあります。
8300Aの出音はニュートラルです。K3の出音が暖色寄りなので、比較の上では8300Aはやや寒色寄りとも言えます。生真面目だがストイックすぎない出音だとも感じます。
K3の出音は、とかくゆとりを感じさせます。不労所得で悠々自適な貴婦人とでも評したいです。ジャンルによって、とてつもなくリッチな鳴り方をしたり、逆にまったりし過ぎたりするので、安易に良し悪しを決めつけられないところがあります。
A-1もK3も暖色系の出音ですが、A-1の方が明るくて開放感がある音。K3の音に開放感がないとは思わないですが、A-1もといSoulnoteの開放感や鮮度感は特筆すべきものがあります。