本レビューで対象となるYBA Passion IA350Aは、先代のPassion IA350と類似点が多いため、Passion IA350のレビューを下敷きとして、IA350Aにて改良された点を紹介したいと思います。
外見はほぼPassion IA350と変わりません。
ほぼ唯一の変更点は、背面に追加されたスイッチで、アンプ部とDAC部との接続をON/OFFするものです。
基本的に、音の傾向はPassion IA350と同じ。音の生気や生命感を十分すぎるほどに担保しつつ、しかも、帯域を問わず音が俊敏で、細部の描写が丁寧という傑作。詳しくはPassion IA350のレビューで書いています。
S/Nの向上が著しいです。上記のスイッチで物理的にDAC段を切り離すことを可能にした効果が如実に表れています。プリメインアンプとして使用する分には、Passion IA350Aは、IA350の上位互換と言って差し支えないでしょう。
具体的な恩恵としては、Passion IA350と比べて
微弱音が埋もれない。
全帯域にわたり音像の掘りが深く、描写が丁寧。
音量を上げやすい。
といったものが挙げられると思います。こう書くと淡々としていますが、ベースとなっているPassion IA350は、音楽性が豊かな上に隙も少ない傑作機で、かつ、そのIA350の数少ない弱点の1つであるS/Nを改善した本機の実力は、現環境でも最高クラスのプリメインアンプだと言えるでしょう。