プリメインアンプ以外の機器類の情報はこちら。
コンパクトな1筐体で、節度をもってGOLDMUNDの世界観を具現化するアンプです。
GOLDMUNDのキャラクターというものがあること自体は、多くの方がご認識かと存じます。いろいろな構成要素がある気がしますが、個人的にスッと思い浮かぶのは
広大なサウンドステージ
タイトで立ち下がりが速い音像
クールだが、特有の艶やかと華やかさを纏う出音
あたりです。
もっとも、ここでGOLDMUNDの一般論を語ろうとすると異論が出る気がしますが、ともかくも、TELOS 390.2でQ5をドライブした場合の出音は、今回ピックアップした他のプリメインアンプと比べて、上述の要素に富むことは確かです。また、電源環境にもよりますが、S/Nは、(少なくとも聴感上は)公称値よりも優れると。
レビューにあたり、同価格帯のプリメインアンプ幾つかと聴き比べました。
しかし、当方がとりわけ重視しているのは marantz MODEL M1 および Spectralのセパレート(with MIT cables) との聴き比べです。
当方の中では:
・MODEL M1は、定価ベースで桁2つ違うスピーカーすら駆動し得るが、その他のこと、たとえば空間に広がりをもたせたり、音像に生気をもたせたりすることはとことんサボるアンプ。アンプ選びにおけるエントリーモデル。
・Spectralのセパレート(with MIT cables)は、駆動力はもちろん、音像の生気/熱気、音のスピード/リズム、そこに空間の広さと密度スケールが加わることによる出音のスケール感などなど、当方が重視する要素を全て満たし(現環境でMagico Q5を駆動する限りは)アンプ選びのひとつの終着点。
です。したがって両者との聴き比べは GOLDMUND TELOS 390.2 の強み/弱みを浮き彫りにすると認識しています。
以前に書いた両者の比較記事へのリンクはこちら。
一般的に、SpectralとGOLDMUNDの音作りには似通ったところがあると思っています。たとえば、広大なサウンドステージ、ハイスピード、エンドまでフラットなfレンジ、などです。本題ですが、この辺りについてDMA-400RSを核としたSpectralのシステムは、(TELOS 3000番台~は別格としても)少なくともMagico Q5あたりをドライブする分にはTELOS 2800番台を核としたシステムと同程度には強力でしょう。S/NについてはSpectralが劣ると推察しますが、アコースティックの生気や生命感については分があるでしょう(というかこれはSpectralの「らしさ」)。
こんな感じなので、S/Nを除けば、TELOS 390.2単発でSpectralのセパレートと張り合うのはかなり厳しいものがあります。TELOS 390.2に分があるとすれば、GOLDMUNDの「らしさ」である麻薬的な色彩感でしょう。サイケデリックと言うと怒られそうですが、GOLDMUNDの音があれだけクールであるにも関わらず、無味乾燥でつまらないものにならないのは、この「らしさ」がゆえだと思っています。ちなみにこれはCH Precisionについても言えることだと思っています。
GOLDMUNDのブランドイメージ、もとい当方が知る範囲のGOLDMUNDのセパレートのサウンドと比較すると、TELOS 390.2の出音はいくらかマイルドです。(あくまで上位機種との比較ですが)低音は深淵を抉るような描写ではなく、浅い帯域にも深い帯域にも、適度な厚みを持たせています。察しますに、ブックシェルフや、帯域バランスが高音寄りのトールボーイを鳴らしたときにうまくバランスが取れる音に仕上がっていると思います。関連しますが、スピード&リズムについても、それを損ねかねない要素は全て排除するというスタンスではなく、エントリーに近い環境でも楽しめるような遊びを持たせていると感じます。
はじめてGOLDMUNDのアンプを買う人。
ご自身とGOLDMUNDとの相性を見極めたい方。
ハイスピードでクールな音が好きな方。
オーディオショウの会場でGOLDMUNDやCHの音に聞き惚れた方。
お値段をx軸とした片対数グラフを描きたかっただけです。ジョークグッズの類なので、不確かですがご容赦を。