Reference Recordings(リファレンス・レコーディングス)は、1976年に設立されたアメリカのオーディオファイル向けレーベルで、主にクラシック、ジャズ、ブルース、ワールドミュージックの高品質録音を手がけています。
その目標は「あたかも演奏会場の最前列に座っているかのような臨場感を、スピーカーから再現すること」で、その音源のクオリティの高さは、独自の録音技術や手法ともども、全世界のオーディオファイルから非常に高い評価を受けています。
Reference Recordings の特徴を端的にまとめますと:
音の哲学:演奏会場の空気感と臨場感の再現、非加工主義 (録音後の過剰なEQ、コンプレッション、ノイズ除去などの人工的な編集を極力排除)
技術的特徴:自作・改造機器(録音信号経路の最短化, etc)、少数マイク収録、ダイナミックミキシング(※)
会場の選定:残響や音響特性に優れたホールを厳選
などが挙げられます。
※録音時にリアルタイムでバランスやレベルを調整し、録音後のミキシングに頼らずに完成形を作る手法。極めて高度な技術を要し、録音エンジニアが演奏に合わせて「演奏者の一部」のように動く必要がある。
なお、Spectral の技術ディレクターでもあるキース・O・ジョンソン博士が、創業メンバーの一人であり、設立当初から技術面の中心を担ってきました。1978年頃から、創設者であるプロデューサー John Henderson と共に活動し、現在まで約46年以上、Technical Director として数多くの録音・マスタリングを手がけています。
それはそれは音が良いです。クラシックやジャズというと、人によっては退屈なイメージがあると思います(というか筆者もそう思って敬遠していました)が、Reference Recordingsの録音は、その音質の力によって退屈さを吹き飛ばす威力を秘めています。とりわけ、一部のフルオーケストラの録音は、文字通り聴者が吹き飛ばされるかのような躍動感やダイナミズムを備えています。ここではその代表作として"Infernal Dance of King Kashchey"を紹介してみます。少し良いイヤホンやヘッドホンでお聴きいただけば、その高音質ぶりをご堪能いただけるはずです。
では、得意なのは強音・低音ばかりなのかというと、そうでもないです。まず、中高音のクリアネスについても、耳を疑うような音源は多々あります。ここではその代表作として"The Pines of the Villa Borghese"を紹介します。また、弱音・空気感・臨場感がスポイルされない点も同様です。例えば"Boléro, M. 81: Bolero"の序盤などは、ともすれば埋もれそうな弱音のオンパレードですが、会場の空気感ともども、見事に再現されています。
このように、オーディオ的な快感が生半可ではない録音が多いため、クラジャズの愛好家ではない、たとえばアニソンを中心に楽しんでいらっしゃる方でも、退屈することなく聴ける点は Reference Recordings の作品の強みだと言えるでしょう。他にも紹介したい長所や音源はありますが、それは個別作品の紹介ページに譲ります。
他に、面白い点としては Reference Recordings の音源の魅力は、Spectralのアンプの出音の魅力と共通する点が多いことがあります。具体的には:
音のスピード&リズム
熱気・生気・生命感を宿した出音
です。この辺りは、キース・O・ジョンソン博士の世界観と評してもよいのかも?とか思ったりしますが、Reference Recordings の音源を聴くと Spectral のアンプの音が想像できたり、その逆も然りであったりというのは、なかなかに興味深いものがあります。
ここでは Reference Recordings の数ある作品の中でも、傑作を生み出してきた2つの楽団を紹介します:
Dallas Winds Symphony(通称ダラス・ウィンズ)
Minnesota Orchestra(通称ミネソタ管、大植英次指揮)
Reference Recordingsの優秀音源を探す場合、まずはこの2楽団をキーワードとして調べることで、高確率で優良音源を引き当てることができます。上で紹介した3曲も、大植英次指揮のミネソタ管によるものです。
他にも、ジャズであれば
Dick Hyman
のピアノジャズは絶品です。これはこれで、クラシック音源にはない、しっとりとした魅力を堪能できます。
その他、個別の作品については別途、紹介するページを設けています:
紹介するものはいずれも絶品だと思っていますので、ぜひご堪能いただけますと幸いです。